国の「規制改革・民間開放推進会議」の集中受付月間への私の改善要望活動

私は非合理的な日本の速度規制の現状を変えさせるために自分に出来る事として、2年ほど前から何回か、旧「規制改革・民間開放推進会議」の集中受付月間に改善要望を送付してきました。
現在は今年1月末から発足の後継組織「規制改革会議」に引き継がれています。
私の要望はこの旧規制改革・民間開放推進会議のホームページ内でまだ公開されています。
その中から最新の平成18年6月要望を、この私のホームページ上で初公開したい文面の部分もありますので、紹介します。

(なお、文内の斜体文の部分は私の感想です。)

*平成18年6月集中受付月間での要望内容と警察庁の回答

要望その1

要望事項:
 一般道路の法定速度を自動車70km/h、原動機付自転車40km/hへ緩和する。

要望理由: 
特に北海道などの地域では広大な平野に人家連担のない見通しの良い直線道路が多くあり、大抵は速度規制標識が無く法定速度の60km/hですが、制限速度を60km/h以上に引き上げても交通危険性が増大しにくいと思われる道路が多いので、そのような道路は法定速度以上の速度規制標識を立てて緩和すべきですが、実際には交通警察は標識を新たに設置するための予算要求をしなくてはならないことや、ドライバーの緩和要望に対する現行の法定速度60km/hを盾にした見直し作業の怠慢で現状では進んでいません。よって、自動車の法定速度を交通安全性も考慮した実現可能だと思われる70km/h程度に改正し、速度規制標識を必要とすることなく緩和させるべきです。60km/h以下の制限が必要な道路は今まで通り速度規制標識で制限すれば良いわけです。 原動機付自転車の40km/hへの緩和についての必要性は、現状の市街地内の一般道路の多くは50ないし40km/h規制であるため、原動機付自転車と自動車との速度差が小さくなり、交通の円滑性、安全性が高まる事です。


警察庁の回答:
平成17年中の交通事故の発生状況から、自動車等の危険認知速度が60キロメートル毎時を超える交通事故の死亡事故率が10.7%と、60キロメートル毎時以下の死亡事故率である0.5%を大きく上回る結果が出ており、法定速度を引き上げることは交通の安全の観点から認められない。
 また、原動機付自転車に限ってみても、危険認知速度が30キロメートル毎時を超える交通事故の死亡事故率が2.0%と、30キロメートル毎時以下の死亡事故率である0.7%を約3倍も上回る結果が出ており、原動機付自転車の法定速度を引き上げることについても、交通の安全の観点から認められない。


回答に対する私の再意見:(規制改革・民間開放推進会議のホームページでは長文ということで公開されませんでした。ここで初公開します。)

自動車の速度緩和について、速度が上がればその起こった事故が死亡事故になる確率が高くなるのは当然ですが、速度緩和を交通安全対策の施された高規格道路に限定したり、北海道のような人口密度甚少地域の広大な平野の中にある人家連担の無い見通しの良い直線道路などに限定して、事故そのもの発生を抑止させることを狙うことで、全体の死亡事故数は抑止できるはずです。
北海道などのこのような道路は速度が高い状態でも危険認知がしやすい環境にありますし、そもそも人が道路の横を通行したり横切ったりする場面に出くわす事がほとんど無く、人対車の事故誘発要因も非常に少ないので速度が高くなってもこの要因による事故数自体は上がりにくいわけです。
唯ー相対的に目立ってくる危険要因が車対車の対向車正面衝突で、北海道は他府県と比べて全体の事故に占める対向車正面衝突事故の割合が非常に高いという北海道警察のデータもそれを裏づけています。北海道開発局は一般国道の対向車正面衝突事故対策で「ランブルストリップス」という、センターラインを凹凸の溝のあるものにして、センターラインにはみ出した車に振動で注意を喚起するという対策を平成14年から少しずつ施し、増やしていった所、その施した区間は正面衝突事故が半分程に激減しているそうで、そのせいもあってか北海道は去年の事故統計で全国交通事故ワースト1を返上しています。
せめて、北海道の一般道路はこの「ランブルストリップス」対策済みの道路ならば70km/h(出来れば80km/h)制限に緩和するという方針を警察庁としても取っていただいて、北海道警察に実行させていただきたいと強く要望します。
自動車の一般道の速度緩和の必要性は、平成16年11月と平成17年6月集中受付月間要望で述べているように、実勢速度と規制速度の乖離の問題と、交通甚少の一般道を安全対策改良付きで速度緩和する事で新たな高速道路を建設する必要が無くなるという事などが挙げられます。
このような交通甚少の一般道を安全改良して速度緩和することで高速道路建設の必要性がなくなる道路が比較的多くあるのは北海道ですが、本州四国九州にもそのような道路がある(三大都市及び地方主要都市圏からだいぶ離れた交通甚少地域など)わけで、道路管理者が高速道路建設をやめて一般道の安全改良で対応すると決めて改良した全国の道路に対しては、連携して速度緩和して頂きたいと思います。

  次に、原動機付自転車の速度緩和については、警察庁の主張されるように、本当に速度緩和すると死亡事故が増えるのかは甚だ疑問です。
それには自動車との速度差が減少する事で自動車の追い越しによる接触事故が減る効果があることが考えられ、その分析が全く欠落しているからです。
この点の分析データがあるならば示して頂き、無いならば今後分析され、国民に示して頂きたいと要望します。
道路交通法及びその施行令が制定された昭和30年代から50cc以下の排気量基準と法定速度30km/hは一度も見直されていません。
国民に気軽に乗れる二輪車という昭和30年代当初の意義は、現在はエンジン技術の進歩で同じ当初50ccよりも2倍程度の出力が出るようになって30km/h走行には十分すぎる出力になり、事故の多発でヘルメット着用義務化と、その意義が薄れ、歩道を走っても危険、車道を走っても危険などっちつかずの乗り物と化しています。
この現状を踏まえ、原動機付自転車の見直しの方向性は次のどちらかが考えられます。
一つの方向性は、当初より2倍程度の出力になった状態を戻すため、排気量区分を20〜30cc程度に引き下げ、当初の気軽に乗れる二輪車、文字通り「原動機付自転車」の状態に戻すことです。しかし、現在は電動アシスト自転車がこの位置づけの役割を担ってきていますし、法定速度は変えませんので自動車との速度差の問題が依然残ります。
そして、もう一つの方向性は、私が提案しているように法定速度を引き上げて自動車との速度差を解消させるということです。そして小型二輪車として名称変更し、速度が高くなった事による実技試験を導入する必要があります。 
私が取りあえず低めの40km/hへの緩和を提案したのは、今の実技試験の無い免許制度のままでは法定速度を上げすぎると今度は運転技術不足による事故が増える危険性があるのと、今の原付がメーカが表向きは30km/h走行を前提に車体を作っているため、高速走行安定性に不安があるからです。
実技試験を導入し、メーカーが対応してくれば、50km/h程度への緩和をすべきだと考えます。
自動車の速度緩和も含めて、警察庁の単に速度が上がれば死亡事故率が増えるから認めないという狭い了見で片付けられてはこの問題はいつまで経っても解決せず、警察への反発は続き、国民の不幸は続くでしょう。警察庁は国民のためにこの問題にもっと深く真摯に取り組んで頂きたいと思います。
このような改革すべき重要性とポイントを示した私の再意見を踏まえ、再度検討頂けるか、ご回答下さい。


警察庁の再回答: 
前回回答のとおり。 
 なお、個別の道路の規制速度に関する御要望については、それぞれの道路を管轄する都道府県警察に御相談いただきたい。
 また、一般的に交通管理の観点からは、すべての自動車が斉一な速度で整然と通行するようにさせるため、自動車の最高速度は全車種とも一定であることが望ましいと考えられるが、原動機付自転車に関しては、既に御存知のとおり、だれでも気軽に乗れる乗り物として、その運転免許を取得するのに技能試験を要しないこととし、法定速度も30キロメートル毎時としたものであり、その意義は現在でも変わっていなことに加え、30キロメートルを超えた速度での死亡事故率が高いことからも、法定速度を引き上げることはできない。


要望その2

要望事項:
住宅地、市街地内の一車線道路の30km/h制限の法定化。

要望理由:
世界の国々の多く(特に欧米諸国)は、市街地を通行する際の道路の法定速度を定めています。ところが、日本の場合はその規定が全く無い為、速度規制標識を立てて速度制限されている市街地内幹線道路は問題ないものの、住宅地や市街地内にある細かい多くの一車線生活道路まではいちいち速度規制標識を立てる事が出来ないので、法定速度60km/hが合法化されてしまっているという矛盾が昔から生じ続けています。現実は、多くの良心的ドライバーは交通安全の事を考え、法定速度まで出すような事はしません。しかし、合法化されている以上、交通警察はこのような住宅地、市街地内一車線道路を暴走する一部のドライバーを事実上取り締まる事が出来ないわけです。これは交通安全にとって大きなマイナスで、ぜひとも解消すべき問題です。

実施内容:
日本の市街地と郊外の境界がはっきりしない国土環境ではその基準で法定速度を変えることは無理なので、一車線(センターラインの無い)道路には30km/h程度の低い法定速度を新設規定し、二車線以上の道路には今までの法定速度を規定するという形の方策を採ればよいと考えます。そうすれば、狙いとする、速度規制標識の設置できない細かい住宅地、生活道路はまず一車線であるので、間違いなく法的に規制対象にできるわけです。実際の運用面でもドライバーには、「一車線(センターラインの無い)道路は法定速度30km/hで、二車線以上で速度規制標識の無い道路は今までの法定速度」という風に明確に認識出来るわけです。また、山村部などでセンターラインの無い1.5車線的な道路が40km/h規制の道路もありますが、自動車については規制標識速度の方が優先されるため、法定速度の30km/hに下げて走らなければならないことも起こりません。


警察庁の回答:
一車線道路について、その交通量、道路環境、沿道環境等は様々であり、全国一律に法定速度を30キロメートル毎時とすることは適当でない。
 なお、生活道路等であっても最高速度規制の必要があるところについては、既に標識により規制が行われている。


回答に対する私の再意見:(規制改革・民間開放推進会議のホームページでは長文ということで公開されませんでした。ここで初公開します。)

「一車線道路について、その交通量、道路環境、沿道環境等は様々であり、全国一律に法定速度を30キロメートル毎時とすることは適当でない。」とありますが、私は何も日本全国の1車線道路をそれぞれ条件が違うのに全て30km/h制限に統一すべきと言っているのでは有りません。
40km/hにすべきところは標識で対応すればいいということを書いてあります。よくお読み下さい。
ただ、大半の1車線道路は30km/hが妥当だと思われるので、その多い部分を法定速度で対応すれば、全ての標識が立て切れていない現状においては、多くの生活道路までの無駄な標識を新たに立てる必要も無くなるので合理的だということで提案しているのです。
すでにある30キロ規制標識が法定速度の30km/hとかぶっているからといって標識を撤去する無駄は起こらないはずです。一般道の60km/hの規制標識があるところは有ります。 
「生活道路等であっても最高速度規制の必要があるところについては、既に標識により規制が行われている。」とありますが、これはあまりにも現状を見ていない虚偽に近い見解です。
私がドライバーの視点で現状の道路を見る限り、1車線道路で規制速度標識が立てられていないところは多い少ないの地域差はあれ、かなり至る所にあります。これは日本の多くのドライバーが同様の感想を持っていると思います。
1車線道路で現行の法定速度60km/hが妥当だと感じられる道路はまず有りません。(よっぽど広い道路ならあるかもしれませんが)よって、日本全国の全ての1車線道路に規制標識が立てられていなければ、最高速度規制が必要な所は既に標識により規制が行われているとはとても言い切れません。
そこで、私の提案のような方法に変えないと日本の全ての1車線道路の適切な速度制限は無理であると考えます。
このことを理解した上でこの提案を再度検討頂けるか、ご回答下さい。


警察庁の再回答:
前回回答に同じ。
  なお、法定速度以下の速度規制を設けることが適当と思われる道路についての御要望やお気付きの点は、各都道府県警察に御相談いただきたい。


先日、次のような注目すべきニュースを見つけました。

「 
livedoor ニュース - 時速30キロに速度規制=埼玉・川口市
【PJ 2006年12月31日】− 埼玉県川口市で9月、散歩中の保育園児の列に車が突っ込み、園児ら21人が死傷した事故。加害者が時速50〜55キロの速度で突っ込んだにもかかわらず、速度超過とは認定できないという理不尽な結果となった。幹線道路から一つ入った市道の法定最高速度は時速60キロであった。「法定最高速度が現実にあっていない!」。事故後、多くの疑問の声があがった。全国のいたるところで、指定最高速度が時速50、40、30キロの幹線道路に囲まれた街区内の道路の法定最高速度が時速60キロというおかしな状況が生じているのだ。
 今月21日朝のNHKニュースで、川口市小鳩保育園の周囲の生活道路を30キロに速度規制するという報道が流れた。事故後、毎週末街頭で署名活動を続け、事故の理不尽な対応と無念を訴えてきた遺族の努力、そして、事態を深刻に受けとめ、道路交通法、同施行令の見直しなどを求め、警察庁長官、内閣府特命担当大臣などに要望書を提出した岡村幸四郎川口市長の俊敏な対応が、確実に次への風を吹かせた。
 生活道路の時速30キロの速度規制。「今、この風をなんとしても活かしたい」と切実に願う遺族。ここから先は、この事態にどう呼応し行動するか、わたしたち個々の問題である。社会を構成するわれわれの行動にかかっている。迎える2007年、飲酒運転撲滅の声を追い風に、速度規制を求める強い風が吹いてほしい。【了】 」

このニュースにある場所の市道(生活道路)は速度規制標識の無い1車線道路ではないかと思います。
このニュースの事件はこの問題があることを正に浮き彫りにしています。
特にニュータウン(新興住宅地)などは街区内に1車線の街区道路が都市計画で細かく多く設定され、道路数が多いので速度規制標識が立てられていない場所が多いのが現状です。この私の提案するような法定速度による合理的な方法で生活道路が規制されていたならばこのような死亡事故も起こらなかったかもしれず、加害者ドライバーが速度超過と認定されないという理不尽なことは起こらないはずです。
速度規制緩和を求めたい立場にあるドライバーでさえも、私も含めて多くの良心的なドライバーは生活道路の速度規制は交通安全のためには仕方ないと感じ、幹線道路は速度規制標識で規制されているのに、1車線の生活道路は法定速度の60km/hになっている場所が多いのはおかしいと感じているのです。
にもかかわらず、警察庁は上記の回答のように、私の指摘するこの問題点に対して正面から向き合わずはぐらかし、さも何も問題がないかのような回答をしてきたわけです。
交通事故を減らす事を考える立場にある警察庁からは、前向きな回答が来ると私は思っていましたが、全く意外でした。
本当に警察庁は国民のために交通安全政策を考えているのかと疑いたくなります。やはり、規制標識の利権が絡んでいるからではないかという穿った見方をせざるを得ません。




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