題名:地球危機克服への政治経済(第一弾)  1995年作成
                      
              
  * 21世紀の新しい経済システム----プラウトシステムについて *

 
 人類は今、資本主義経済が産み出した様々な問題--地球環境破壊、物質、金への
精神的崇拝、貧困と貧富の差、その他色々な問題に頭を抱えています。

 そういう状況の中で、このままでは人類、文明が滅びるという漠然とした不安を
多くの人々が感じ、何かが変わらなければならない(精神的なもの、ライフスタイ
ル等)と真剣に考え始めています。

 そういう中で、私も高校生の時から資本主義経済は変わらなければならないと感 
じ続けています。

 では、いったいどういう風に変わって行ったら、今より進歩した社会に、地球と
人類が共存し調和した社会になるのだろうか?

 そのことが、ここ数年、疑問として私の頭の隅にありました。

 その答えを求めるべく、私は有名書店に行き、少しでもこのことに近い事を研究
している学者の著書はないものかと探し始めました。

 以外にも、私は疑問が氷解し、新しい経済システムのビジョンが見えてくる様な
3人の研究者の本に出会いました。(以下は参考文献です)


*ポストマルクス主義の社会像  根井康之 氏   農文協 刊
 
 資本主義の矛盾とソ連型共産主義の崩壊の原因が人々の社会間のコミュニケーシ  
 ョン機構の不在による、社会の根源的本質の発現を阻害してきた事によるものだ
 ということを深く解明しています。


*神道経済救国論  中矢伸一 氏(神典アナリスト) KKベストセラーズ 刊

 近年、日本神道系の神々から降ろされた「日月神示」の啓示の中で示されている
 神の経済システムを実行するべきだと説いている。
 この経済システムは、人々は神、仲間の為に物を生産し、あくまでも自発的な労 
 働と、貨幣を使わない経済を基本としている。


*ラビバトラの大予言   ラビバトラ 氏(インドの経済学者) 総合法令 刊
*1995ー2000世界大恐慌     同上         総合法令 刊
*ラビバトラの世界経済大崩壊      同上         徳間書店 刊

 ラビバトラ教授の師、PRサーカー博士が唱えた、社会サイクル理論とプラウト
 制度という東洋的発想から生まれた考え方をもとに、いずれは崩壊するであろう
 資本主義経済に替わる新しい経済システムを示している。

 (私はこのプラウト制度に神道経済的コンセプト、社会構成員間のコミュニケー 
  ションの強化による、社会の根源的なものを発現させれる様な経済システム
  を目指すべきだと考えます。)


では、今模索している新しい経済システムに求められる条件とは、何でしょうか?

(1)金銭の為に働くのではなく、人々、神の為に働く事に幸福を見い出せる様な   
   精神性を持った経済。

(2)地球環境破壊、資源の浪費を起こさない様な経済。

(3)一部の階級が、独裁的、中央集権的に権力を持つのではなく、社会構成員間
   の相互コミュニケーション組織を基本とした共同的自治による政治、経済。

以上の、3つが基本的な柱だと思います。


次に、そういう新しい経済システムを築くために、各社会構成がどういうシステム
 であるべきかということを、3人の研究者の結論をもとに具体化してみます。

(1)国民への物財やサービスの供給の仕方は、人間らしい生活を営む上で最低限   
   必要なものは無料にする。例えば、医療と教育。


(2)物財、サービスの供給には、消費者〜生産者間の情報コミュニケーションが
   十分に働き、生産物の種類、質、量がそのコミュニケーションの中で決めら    
   れる会社経営システムを導入する。

   その経営システムというのは、会社の資本の運用と管理を労働者達自身の手
   にゆだね、商品を生産する事においても消費者との相互コミュニケーション
   において、その種類、質、量が決定されるものでなければならず、そういう
   システムでは、私企業の資本の論理(利潤追求第一)の考え方はかなり抑制
   され、個人独占的資本家は消滅し、労働者も社会のために働くという実感が
   わくであろうと思われる。(後で、これを図1に示します)


(3)「農業分野における食料の生産においては、農産物の生産者と消費者が直結
    した、生産者と消費者による協同組合方式を取るべきです。食品の汚染や
    消費されない大量の食料の廃棄などという、現在起こっている目を覆うよ    
    うな事態の大部分は、食料の生産と流通が利益のためだけに行われている
    事から発生しています。このような現行のシステムを廃止しなければ、安
    全な食物による健康な生活すら保証されないことになりかねません。」と 
    ラビバトラ氏は主張しています。私もこれと全く同感です。


(4)科学技術の利用についても、

   「政府は新しい発明がもたらすだろうマイナス面を吟味し、予想されるマイ
    ナス面に対する対処法を開発しない限り、新発明を市場に導入させないよ 
    うにします。新技術の発明者と政府は協力して、マイナス面に対するカウ 
    ンターテクノロジー(対抗技術)を開発します。例を自動車の大気汚染に 
    とれば、排気ガスを浄化できる触媒などの技術が開発されない限り、自動 
    車の販売は許可されないということです。」とラビバトラ氏も述べていま 
    す。私も地球環境を守るうえで、この考え方は非常に重要だと思います。


(5)政府の公共事業について、ラビバトラ氏は、中央政府はしばしば官僚主義に
   陥りがちであるので、地方自治体が公共事業を直接運営し、公共的な資源の    
   適切な配分を行うべきであると述べている。私はこれを根井康之氏の考えと
   照らし合わせてみると、氏のいう共同的自治、もっと深く考えれば社会の本  
   源的本質の発現に1歩近づいた考え方であると思います。


(6)私は、以上(1)〜(5)の考え方に、神(宇宙の創造エネルギー)とのつ
   ながりが感じられる様な、神道経済的な考え方が導入されれば一層、霊的、
   精神性を帯びた経済システムになり得ると思います。
   しかし、その実現には社会の構成員たる人間の精神(霊的な)レベルがそれ
   を受け入れられる人が大多数になる時代まで待つ必要があるように思います。

________________________________________

図1  新しい会社経営システム
    (現行の株式会社より、高次の資本の搾取からの解放、社会的精神性を
     目指すもの)

                 _________           
   _____  金融政策  |         |          
  |     |ーーーーーー>|   市 場   |          
  | 政 府 |       |(貨幣取引の他、 |          
  |_____|       | 消費者の要望等の| 消費者の要望  
     |    製品を売る | データ収集基地)|<ーーーーー| 
     | /ーーーーーーー-> _________|      |  
会社設立の| |           A  |          |  
判断等、 | |      労働者  |  |        __|__
マクロ経済| |      消費者間の|  |売上金    |     | 
面でのコン| |      情報コミュ|  |の回収    | 消費者 | 
 トロール| |      ニケーショ|  |       |(生活者)| 
     | |          ン|  |       |_____| 
・・・・・|・|・・・・・・・・・・・|・・|・・・・・・・・・・・・・・・
・ ___
V_|_設備投資、生産シ _V__V_      |_国民__|・
・|      |ステム維持費等の|      | 給料  |     |・
・|生産システム|請求      |労働(従業)|ーーーー>| 労働者 |・
・|または従業場|ーーーーーーー>|者コミュニケ|     |(生産者)|・
・|(運営者のみ|<ーーーーーーー|ーション組合|<ーーーー|_____|・
・|   存在)|意見、要求の反映|(会社の資本|代表者を送る  |   ・
・|__ ___|運営者の監視  |  も管理)|        |労働力・
・   A            |______|        |の提供・
・   |              |  A          |   ・
・   |______________|__|__________|   ・
・                  |  |              ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・|・・|・・・・・・・・・・・・・・・

 「新しい会社形態」         |  |株式による出資か、
                配当金|  |それに替わる
                   |  |新しい出資形態
                 __V__|__
                |        | 
                | 個別投資家  |
                |(労働者自身も |
                |  持株を持つ)|   
                |________|

*用語の解説

・生産システム、従業場中での「運営者」というのは、会社の資本の管理権が無い 
 経営者という意味で、今までの株式会社における経営者と区別するためにあえて
 私がそう呼ぶことにしたものです。

・「労働(従業)者コミュニケーション組合」というのは、図に書いている様に
 会社の資本を管理し、なおかつ消費者の社会的な要望を吸い上げ、それを会社の
 物財、サービス生産に反映させる事も行う労働(従業者)組合という意味です。
 


*新しい会社経営システムの特徴(株式会社と比較して)

 営利的企業に共通して克服しなければならない問題点として、資本の論理(利潤 
 追求第一の考え方)が支配する中で、企業が社会的存在として守るべき倫理、人 
 道(企業の社会的責任)をどうやって反映させ、両立させて行くのかという点が
 あります。

  新しい会社経営システムでは、今まで商品生産の種類、量、価値基準が会社の
 経営陣(トップマネジメント)によって資本の論理の上で判断されてきた状況か
 ら、労働者コミュニケーション組合が会社の資本(資金)を管理し、労働者1人
 1人が株を持つ事により、社内の発言権が高まり、実質的に経営主体が彼らに移
 ります。

 その様な会社では、ある事業に対してどの様な意志決定がなされるのでしょうか?
 ある例をとって考えてみます。
 

 ある会社は事業の1つとしてゴルフ場の開発を行いたいのですが、その開発には
 多くの森林の伐採が必要であり、完成後も農薬で周辺の魚類が多く生息する河川
 を汚染することが予想され、環境破壊が十分に予想される開発でありながら、実
 行すれば莫大な利益が見込める開発事業であったとします。

  今、この会社の経営状況は赤字に傾いていて、従業者達からも賃上げ要求が出 
 ています。

  そのような時、この会社が株式会社形態であれば、一握りの経営陣(トップマ 
 ネジメント)は、多少追いつめられた状況の中でやむなくこの開発事業を実行す
 ることを決定し、この開発事業が環境破壊を十分に引き起こしうるという事実は
 社内秘密とされ、一握りの経営陣のみしか知りえず、従業者達はそのことを知ら 
 ないまま開発事業に従事するという由々しい選択がなされる可能性があります。
 
 しかし、この新しい会社経営システムでは、まず従業者コミュニケーション組合
 で、この開発事業の是非が話し合われ、最終的に従業者達の良心によって環境破
 壊の無い別の事業を行う選択をしたり、賃金を据え置くこともやむおえないとい
 う考えに傾き、この開発事業は止められる。という選択の希望があります。
 
  この例からも分かる様に、新しい会社経営システムは
 
 ・従業者達の良心的コントロールによって、会社が悪徳化するのを防ぐ効果がある。
 
 ・従業者達が経営に参加する事により、会社の現状への理解が深まり社内的融和
  が保たれる。 
                        

 ・従業者コミュニケーション組合が会社の資本(資金)を管理しているため、従 
  業者達に最大限に賃金が分配される。 
                             と、期待できます。
 
  この会社経営システムは、ラビバトラ教授の提唱する「従業員持ち株制度」に、
 根井康之氏が解明した、現代資本主義における資本家管理から労働者管理への流
 れと共同的管理が必要である。という認識の下で、

  私が現実的なシステムとして、具体化してみたものです。


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