奈良県の道路整備の諸提案   2010年3月新設、2019年12月 一部追記(太字部分)

私は、渋滞だらけで道路事情の悪い奈良県の道路整備のあり方にも関心があり、つぎはぎの道路だらけで有効的な整備のされていない奈良県(特に盆地部)の道路について、過去から個別道路の整備の具体的なルート見直し案などを、奈良県道路整備課や国交省奈良国道事務所などに提案してきました。その主なものをここで公開します。


大和中央道(奈良市宝来町〜大和郡山市城町)の住宅地迂回と現道活用ルートへの変更の住民立ち退き不要・低費用化による至急整備  2010年2月、県へ提案

奈良県都市計画課街路係、道路建設課 担当者殿
 
奈良新聞などによれば、大和中央道の奈良市域は建設が白紙撤回されるとのことで、その理由は財政の厳しさや見直された将来の交通需要予測からといった理由が報じられましたが、私は現行計画ルートは住民の多数の立ち退きが必要で、現に反対運動が起こったようで、建設費用が膨大かつ、建設の理解が得られず断念したものと思っています。
しかし、現在の奈良県の道路整備のバランスは西名阪郡山IC以南の京奈和道の開通や中和幹線など中南和地域は進んできていますが、北和地域(奈良市域)は京奈和道の大和北道路がようやく都市計画決定された段階で、実現にはまだ何十年かかかると思われ、依然立ち遅れています。そのような中で交通需要が国道24号(奈良バイパス)に集中し、現在特に慢性渋滞状態でパンク状態になっている現状であるのは周知の事実です。
そのような中で大和中央道の奈良市域(特に阪奈道路から大和郡山市城町の既開通区間をつなぐまで)は、特に国道24号の迂回機能と交通需要を分担する極めて重要で必要性が高い区間であるにも関わらず、上記のような県の決定で奈良県の道路行政は一体何を考えているのかと私は言いたいです。
大和中央道の現行計画ルートがそもそも無理な計画であった事が明らかになった今、柔軟に、住宅地を迂回しつつ現道を活用して、極力住民の立ち退きを最小限としかつ低コストに抑えたルートに素直に見直して建設するというような現実的な発想がなぜ出てこないのかと思います。
 
実際、私でもそのようなルートを考え、提案することが出来ます。添付のPDFファイルの赤線で新ルート案を記した都市計画図がそれです。
このルート案なら極力住民の立ち退きを必要とせずかつ現道の活用で建設費用が低く抑えられ、住民合意のプロセスも容易ではないかと思われるので早期に整備できる可能性が高いと思います。今、この新ルートで早急に都市計画道路変更決定と整備を行えば、京奈和道の大和北道路よりも早く建設でき、大いに北和地域の道路事情の早期改善に役立ちます。道路に振り向ける財政的な優先順位を大和北道路よりも一時的に高くして、至急整備すべきです。
 奈良県議会の平成21年9月の定例会で小泉米造議員の大和中央道を白紙撤退した経緯の旨の質問に対して、土木部長が富雄川沿いの「枚方大和郡山線」の4車線化の目処が立ったのもあるとの答弁旨の議事録を見つけました。ということは、県は大和中央道(奈良市域)の整備の代わりに、この枚方大和郡山線の4車線化整備で問題を解決しようと考えているんですね。しかし、枚方大和郡山線の阪奈道路交点までを4車線化整備したとしても、国道の24号から阪奈道路で抜けて南に向かう迂回目的車にとってはかなり遠回りになって迂回道路として利用されず、相変わらず国道の24号のパンク状態の解消にはつながらず整備がほとんど無意味で終わると思います。また位置的にも、もう少し阪奈道路を西進すればすぐ国道168号(これを4車線化拡幅して奈良西幹線として整備する計画もあるようでそれが整備されればますます無意味)で、交点があまりにも生駒寄りで西すぎます。

だから、私が図示で提案しているように、枚方大和郡山線の4車線化(交通容量不足の可能性もあるので6車線化も出来るようにしておく)は、大和中央道既整備北端(大和郡山市城町)の交点から第二阪奈交点までとして、以北は4車線化はせず2車線のままとして、それで浮いた予算で第二阪奈高架下を4車線道路化利用と大和中央道の既整備南端(奈良市宝来町)までを新たに4車線道路をつないで、大和中央道の見直しルート道路として造るべきです。阪奈道路の交点が現行の大和中央道の位置ならまだ国道の24号の迂回車が多く回ってくれ、国道の24号の渋滞緩和の視点での整備効果が十分あると思います。
この事を強調しておきたいと思います。良く良くご検討下さい。

このページにある道路図は全部、図をクリック→別枠表示の図の右下のアイコンをクリックで拡大します。


大和中央道(宝来〜城町)を2車線整備で行くならば、4車線分交通量を逃がすための宝来付近のR308の拡幅2車線整備がぜひ必要です。  2011年1月4日、県道路建設課へメール提案 

去年の2月ごろ、私は大和中央道(奈良市宝来〜大和郡山市城町)区間の、現行計画のルートでの整備をやめて、拡幅された枚方大和郡山線活用+第2阪奈道路の側道(高架下)4車線拡幅整備+大和中央道宝来既整備南端までの4車線の新線(バイパス)整備による、見直しルート整備を強く提案しました。この内容は私のホームページでも公開しています。http://homepage3.nifty.com/koujisuwa/naradouro.html

しかし、去年までの奈良県の道路行政の動きを注意深く見ていると、大和中央道(奈良市宝来〜大和郡山市城町)区間の整備についての県議の質問には、県立奈良病院の移転計画を詰めてから整備に取り掛かる、将来交通量予測の減少を受けての生活道路としての2車線の車線縮小で整備を検討しているなどの要旨を土木部長、道路建設課長などが答弁しているのを聞きました。
確かに、県や一部の県議の現行計画ルートにこだわる気持ちの中に、今まで一部で取得してきた道路用地費が無駄になるという視点があることは解らなくもありません。そこで今回、折衷案を提示します。
 
あくまで大和中央道の現行計画のルートでの整備を2車線で進める方針に決めて整備するならば、私が以前のメールで指摘したように宝来以北の4車線分の交通量がこの2車線に集中する可能性があります。そこで、残りの2車線分の交通量を国道308号を介して第2阪奈側道(2車線)を通って枚方郡山線に抜けさせる事(私が去年提案した見直しルートの2車線的活用)を考えなければならないと思います。
しかし国道308号の、大和中央道宝来既整備南端〜第2阪奈側道交点の区間は民家連坦の1.5車線的な隘路が部分的にあり、多くの交通量を流せる十分な、歩道付2車線道路に拡幅する(拡幅が難しいならバイパス)必要があります。(添付図参照)
あくまで大和中央道の現行計画ルートの2車線整備をするならば、相変わらずこの整備が長期化するのは目に見えています。その前に国道308号のこの区間の拡幅整備を先に行い、少しでも大和中央道未整備区間の道路事情を早期に改善すべきです。ごく短い区間なので建設費もそれほどかからず、早急に完成できると思います。




国道25号(王寺〜天理)バイパスの整備(都市計画道路と大和川堤防道路を利用)

これは10年ほど前に国交省奈良国道事務所に提案したのが最初で、3年ほど前の奈良県都市計画道路計画変更の意見受付の折にも、都市計画道路利用案で再度提案したものです。その時に提出した意見文は残っていませんが、思い出しながら説明します。

@大和川堤防道路を利用する案
大和川沿いの堤防道路で、西名阪法隆寺インターすぐ北東の御幸橋〜大和中央道交点までは狭窄な1.5車線的道路が続いていますが、この間だけでも2車線以上に拡幅整備すれば、東は大和中央道から国道24号まで3年ほど前に2車線バイパス整備された県道109号天理斑鳩線とつながり、西は河合町の2車線整備済み大和川堤防道路を通って西大和ニュータウンの広い道路を通って王寺に抜けるという、国道25号のバイパス的機能の道路網を低コストで一番手っ取り早く構築することが出来ます。この道路が整備されれば法隆寺地域の観光目的県外車など以外の、県民の通勤や物流など通過交通車にかなり間違いなく確実に利用(実際にこの狭い堤防道路は慢性渋滞の国道25号を避けて毎朝主に通勤車などが抜け道目的に頻繁に利用し渋滞が発生する)され、極めて費用対効果の高い道路整備になり、本来ならぜひすぐにでも整備すべき案です。
しかし、3年ほど前にこの事を奈良県道路整備課に再提案した折、安堵町の建設課に連絡が行き、この堤防道路のすぐ横に民家が隣接していて道路の拡幅が出来ない。安堵町としてはここからすぐ北を東西に通す都市計画道路安堵王寺線の整備を考えているという旨の回答が来ました。
しかし、確かに民家は隣接しているものの間に民家道路をはさんでいて、この道路を削るとか堤防の壁面をコンクリート固定で直角に下ろして、拡幅幅を確保するとか本気になれば出来るように思います。また現在の川の北沿い堤防上が駄目なら南沿い堤防上に道路を新設するという方法もあります。(この南沿い堤防上に大和中央道から西行きに2車線道路が既に存在しているが短くて利用されない、それを御幸橋まで新設延長させる)
ちなみにこの案のことと思われるものが、ウィキペディアや、奈良府民公園(2019年現在は閉鎖された様です)というサイトで国道25号「大和川バイパス」として、紹介されています。おそらくこの紹介くださった方はこの情報を知りえる奈良県の道路行政関係者の方か、関係者から詳しく聞き出した方ではないでしょうか。私は過去に行政機関以外にこの案を伝えたことは今まで無かったので。

A都市計画道路を利用する案
この奈良県の都市計画図を見てもらえれば分かるように、大和川沿いやすぐ北には東西に通る(都)三郷川添線、(都)安堵王寺線、(都)筒井二階堂線などのいくつかの都市計画道路が計画され、一部分は出来ています。これらが将来的につながって整備されれば、自然と国道25号バイパス的役割を担えます。
しかし、問題なのは、(都)三郷川添線と、(都)安堵王寺線はつながって計画されていますが、(都)安堵王寺線の東端と(都)筒井二階堂線の西端(正確には(都)筒井長安寺線も沿った南端)の間がつながっていません。平端駅すぐ南の二つの近鉄線をクロス通過(道路高架橋の建設必要)の形になる、この部分をつなぐような新設追加道路(追加の都市計画道路)を計画し建設すれば、三郷から天理まで一つにつながる有効性の高いバイパスに出来るわけです。
最近になって、大和郡山市都市計画マスタープランの道路ネットワークの方針図(PDFファイル、6ページ目)の所を見ると、国道25号バイパスとして機能させるために必要だと私が強調するこの追加道路部分のルートと正に同じものが、ピンク色の構想路線として示されています。私はこれを見て行政はようやくこの追加道路の必要性を認識してくれたのだろう、有効的な道路整備になると一安心した所です。しかし、これらの道路が全て完成するまでにはまだ何十年か以上はかかるでしょう。

その後、2011年になってからこの私の提案する(都)安堵王寺線の東端と(都)筒井二階堂線の西端をつなぐルート部分は「平端バイパス」という名称で計画構想化されました。
地元住民や市議、県議により「平端バイパス建設促進期成同盟会」も発足し、地元の生活道路への車両流入の道路事情の改善と近鉄平端駅前の整備と発展でその必要性を訴えていますが、それだけではなく、国道25号線の王寺〜天理間のバイパスとしても機能するようになるという、一石三鳥の有効性や必要性の高いものであるわけです。
2019年現在まで、この平端バイパスの必要性や推進が奈良県議会や大和郡山市議会で幾度か取り上げられて来たようで、水面下では実際の建設の計画が具体化してきているようですが、まだ都市計画決定までは進んでいません。


私はまず@案の大和川堤防道路を早急に進めて早期効果発現させ、このA案は財政を見ながら将来的に完成させていけば良いと考えます。
県は現在、ここから更に南を東西に通る、県道36号(都)天理王寺線の河合町東部の未整備区間を優先的に進めているようですが、この道路の国道25号の渋滞緩和・バイパス効果については位置が南過ぎるので@やA案と比べ、劣ると思います。

※関連する、国道25号斑鳩バイパス(いかるがパークウェイ)見直し問題
この道路整備に関連した、時代遅れで見直すべき問題として、国道25号斑鳩バイパス(いかるがパークウェイ)があります。斑鳩バイパスのルートは(都)郡山斑鳩王寺線という、昭和39年に当初計画されたかなり古い都市計画道路ルートを元にしており、それ以降全く見直されていないようで、その間にこのルートに新興住宅が次々と建ってしまい、現在、このルートで道路を造ろうとすると、かなりの数の住宅の立ち退きが必要です。ルート上の住民は大反対しています。賛成してくれたとしても住宅の移転補償費など余計な建設費が膨大に膨らみます。
またその膨大な建設費に見合った整備効果があるかといえば、特に肝心な国道25号の広域的な道路渋滞緩和効果は全く無いに等しいでしょう。それはルートを考えてもらえれば分かるように、バイパスされるのが法隆寺・竜田川周辺地域のみという、東は三郷町信貴山方面からの交通量を余分に受け入れてしまう可能性があり、西は大和郡山市境手前で元の国道25号に合流してしまい、もう一つの渋滞ポイントである大和郡山市内の近鉄筒井駅手前ぐらいまでの渋滞がますます悪化する可能性(大和中央道でどれぐらいの交通量が逃げるかにもよりますが)すらあり、単にバイパスされる法隆寺・竜田川周辺地域の交通量のみが減るだけです。
私は10年ぐらい前この事を国交省奈良国道事務所に言いに行きましたが、担当者は沿道環境改善と交通安全の観点からの整備でもあるという旨を言っていて、その時は中止せよとは言いませんでした。その後この面を強調したいためか「いかるがパークウェイ」と名称を変えましたが、しかし現在、財政が厳しく道路整備の選択と集中が強く言われている中で、このような目的だけの渋滞緩和効果の全く無い、極めて費用対効果の低い、住民に意味のない退去を強いる現状に合わない道路整備を進めている余裕などまったく無く、中止(元になる現状に合わない(都)郡山斑鳩王寺線も都市計画道路廃止)するべきでしょう。国交省は斑鳩バイパス整備から手を引き、斑鳩町は斑鳩バイパスをきっぱり諦め、A案の(都)安堵王寺線の斑鳩町区間整備に財政をつぎ込むほうがよほど有益です。こちらの方がずっと国道25号の長距離の渋滞緩和は勿論のこと沿道環境改善・交通安全にも役立ちます。これらの都市計画道路上には幸い住宅がほとんど掛らず、財政さえあれば比較的費用がかさばらずスムーズに建設できるであろうと思います。

その後2019年の現在まで、一部にこの斑鳩バイパスの建設推進を求める地元県議や町議などがいることもあり、奈良国道事務所はなし崩し的に少しずつ建設を進めている結果になっています。もう全線完成させてしまうつもりなのだと思います。







都市計画道路 郡山天理線(県道福住横田線のバイパス)のルート見直しと早期整備

西名阪道郡山インターすぐ北、国道25号と国道24号の交点(横田交差点)から西名阪(名阪国道)天理インターに向かおうとする(その逆も)時、その周辺一般道路は、大和郡山市横田町の集落部内を通る、すれ違いが小型車でも難しい県道福住横田線の狭窄区間を通らなければ抜けることが出来ない道路しか無く、まともな道路がありません。地元移動の奈良県民など、このごく短い区間だけ軽自動車でも300円を出して西名阪に乗るのもあほらしいので、車の多くがこの狭窄区間を抜けようとしてよくすれ違い車待ちの列が出来ます。
そのバイパスとして、郡山天理線が計画されているようです。
天理インターから降りて西名阪沿いをしばらく走れる道路(この都市計画図での、天理郡山北側線の部分)がありますが、行けるところまで行くと奈良県の通行止めの看板で行き止まりになっています。その先がまだ未完成のこの、郡山天理線の部分です。この道路も昭和39年のかなり昔から都市計画道路決定はしているようですが、未だに整備に手がつけられていないようで、道路整備の優先順位を高く考えない財政の問題もあったでしょうが、私は理由の一つには横田町の集落住宅部を貫通するようなルートを取っているので、住民の抵抗があるからではないかと思っています。なぜ、図に示す住宅地を迂回する赤線のようなルートを考えるようにしなかったのか疑問に感じています。
この事は3〜4年前のこの道路の都市計画変更手続の意見募集の時に、県に意見提出しているので、おそらく県は郡山天理線のルート見直しの必要性を認識しているでしょうが、最近になって京奈和道大和北道路の郡山インター追加ランプウェイ整備用地のスペース決定との兼ね合いから、まだ見直しルートの正確な位置を決定出来ないようです。

最近の情報では、西名阪道の南側を東西に通る計画の「国道25号天理改良」道路が、すぐに整備出来る環境が整ったようで、この道路は国道24号南六条交差点(上の国道25号バイパス案東区間図にA案を構成するルートとして一部記していますが)〜県道51号天理環状線(さらに先の国道169号?)の間の、現在隘路の集落道路の部分を2車線に拡幅幹線整備するもので、国交省(当時の建設省)が天理市内の交通渋滞解消のために昭和49年に事業化したが、その当時、用地買収で地元の理解が得られずにやむなく平成4年度に事業が休止されていた計画のようです。(奈良県議会及び天理市議会議事録、天理市土地利用構想図 参照)
しかし、最近になって、この区間も同様の抜け道目的車の渋滞被害にあっているためか、地元住民の自治会が合意協力と共に反対どころか整備を積極的に求める声に変わり、天理市も国交省や県に整備再開要請と財政協力など力を入れているようで、近々都市計画道路決定され、すぐに整備開始出来るようです。
なので、当面はこの進む見込みのある国道25号天理改良道路整備を優先(選択と集中)させて、郡山天理線は将来的な整備でも良いとは思います。
その後、このルート「国道25号天理改良」道路は整備され、2018年にようやく開通しました。

一方で、西名阪道の料金引き下げによる有効活用も当然考えるべき事です。現状では、特に郡山〜天理インター間を走るだけでも、香芝〜天理インター区間適用の普通自動車で400円の一律料金が適用され、大変割高感が高く、このような周辺生活道路に車が流入する要因にもなっているわけで、郡山〜天理インター間は料金を引き下げる政策を取るべきで、時間のかかる道路整備よりもはるかにすぐに行える即効性の高い政策です。ただ、私が2年ほど前まで単身暮らしていた三重県の伊勢自動車道と比べるとまだ、西名阪道は交通量が多く、普段でもある程度有効活用はされているように思います。ですので、郡山〜天理インター間の料金を無料にすると特に朝夕のラッシュ時などこの間の渋滞を引き起こす可能性があり、厳しいかもしれません。100円ぐらいまでの引き下げが適切ではないかと思います。
ちなみに民主党政権が平成22年6月に実施する予定の高速道路無料化社会実験で、伊勢道は津市インター以南を無料にすると発表されましたが、賢明な判断です。土日祝、大型連休時に観光目的車による渋滞の可能性はありますが、平日はガラガラであるので、大いに伊勢道が有効活用され並行する国道23号の渋滞緩和に貢献することになるでしょう。
この社会実験の後、この郡山〜天理インター間は恒久的な政策として100円(ETCのみ)に引き下げられました。

しかし、だからといって奈良県も西名阪道の料金引き下げだけで良いというわけではありません。奈良県の場合(盆地部)、そもそもまともな一般道路が整備していなさ過ぎるのです。三重県などの他府県の水準では、地元移動用に一本ぐらい、高速道路が並行していてもまともな一般道路が整備されているのが普通で、奈良のこの地域に代表されるような、地元民の短い生活移動用途で、隘路を避けようとするなら、短くても高速に乗らなければ移動できないという道路事情自体もおかしいのです。





*最後に、奈良県の道路問題のカルテ

奈良県、特に盆地部の道路事情はなぜこうも悪いのだろうか?
私は、次のような他府県とは少し違う特殊な要因が奈良県の道路整備をしにくくし、遅れさせてきたのではないかと思っている。

一つには、奈良県の道路は、現在の自動車社会に対応していない古くからの隘路旧道が多く存在し、その役に立たない旧道の維持費が奈良県の自治体の道路財政を圧迫し、新規道路のルート計画に旧道との整合性を変に意識した歪さが出てきたり、つぎはぎ的な道路整備など、整備を難しくしてきた事情があるのではないかと思う。
奈良県の道路の数自体は少ないことはないが、その道路の大半が役に立たない旧道であるために、道路の有効率が低く、渋滞ばかりするのだと思う。
奈良県に古い旧道が多く残っている理由は、第二次世界大戦時に空襲を受けなかったからだと言われている。京都などもそのようです。
空襲を受けた地域(大都市など)は、都市が破壊されたのは不幸でしたが、旧道が無に帰して、その旧道を意識せずに自動車社会に対応した役に立つ広い計画的な道路を復興の機会に多く作ることが出来(名古屋市などが有名)、無駄な旧道の維持管理費が現在までに圧迫せずに済んで、その分を道路建設に回してこのような空襲を受けた地域を含む他府県は比較的道路整備が進んだのだと思います。

二つには、よく言われる道路計画ルート上に埋蔵文化財が埋まっている確率が他府県より圧倒的に高いことで、いざ道路建設を始めると文化財が出てくると困るので、その計画ルート上に埋蔵文化財が存在しないかの事前調査が奈良県では特に念入りに広範囲に必要で、その調査予算が多くかかり、かつ建設開始までに時間がかかる。また道路用地の提供に協力的でない保守的な地主が多く、それらの地主の反対で建設がなかなか進まない要因もあります。

三つには、高度経済成長後期〜バブル経済期に奈良盆地は特に大阪のベッドタウンとしての新興住宅地の建設ブームに沸きましたが、その時期に道路基盤整備の緊急の必要性を当時の知事(奥田良三、上田繁潔)や県行政が認識しなかったことの奈良県民の道路、都市計画行政の不幸です。
この時期、新興住宅地の建設の前に古くから計画されていた都市計画道路などの建設の基盤整備が緊急に多く必要でしたが、それが十分になされないままに新興住宅地が都市計画道路予定ルート上に無秩序に建ってしまい、そのルートのままでは将来の道路建設が難しくなる状況を生み出してしまったことです。
すなわち将来実際に道路建設する上ではそのルートは実現不能に近い、いわば絵に書いた餅に変わり、ルートの見直しが必要ですが、それがなされないままにその古いルート計画で道路建設が進められ、結局はなかなか建設が進まずいつまでたっても繋がりません。ここで取り上げた、大和中央道や国道25号斑鳩バイパスなどがその良い例です。この例は私が知る範囲の大きなものだけであって、それ以外にもルート見直しをしなければならずその必要性のある都市計画道路などはまだ多数埋もれていると思います。
奈良県は特に現在のルート計画が現状に合っていて実現可能かどうかの県内各都市計画道路などの計画総点検を定期的に行うシステム(数が多く大変なら県内各市町村にも分担)をとるべきです。


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