コロナ禍の金融富裕層拡大、空前の株価高での金融取引 税(FTT)導入や金融資産課税強化の必要性などについて

2021年1月(本文は2020年7月にも一部作成

投機を抑制する目的などの為替取引税として、「トービン税」と いう課税制度がアメリカのノーベル賞経済学者ジェームズ・トービンにより過去に 提案さ れています。
この課税制度は短期長期にかかわらず全ての為替取引に対して1回の取引ごとに低率で課税するものですが、 長期の取引(貿易での決済や旅行などでの国際間通貨両替などの実体経済取引)に比べ、キャピタルゲイン(売買差益)目的の投機的取引は短期での頻繁な回数 の売買になるので、 短期の投機的な取引の抑制効果の方が大きいわけです。
トービン税は為替取引のみの課税の考え方ですが、これを発展させて株式など金融取引全体に広げるのが「金融取引税」(FTT)と呼ばれる物です。
日本語ウィキペディア「金 融取引税」 「トー ビン税」を参照下さい。
1990年代のアジア通貨危機の際に、キャピタルゲイン獲得目的の国際投機勢力(ハゲタカファンド)によってそれが引き起こされた事が問題となり、 このトービン税や金融取引税の導入が国際的に水面下で検討されたようですが、世界の一部の国のみが導入しただけではその他の導入していない国に投機資本が 流れ その国の金融経済が荒らされる(アジア通貨危機の二の舞のような)という問題が起こる事になり、 導入するならば全世界の国が足並みを揃えて国際共通政策として導入しなければならないという課題があります。
そして2020年に入り、ネットのメディア情報では日本のエコノミストの間で再びトービン税や金融取引税が注目されているそうで、 それは金融取引税は広く薄く金融取引に課税するため導入出来れば消費税など以上の非常に大きな財源を確保できる見込み (当然、日本における消費税廃止の実現も一層現実的になります) があるという点で、コロナ経済対策で必要に迫られているベーシックインカムなどの大きな財源に出来るというような点です。
ブラジル、ペルー、アルゼンチン、コロンビアの中南米諸国などではすでに導入。
欧州連合(EU)では2000年代ぐらいからの長期に渡る導入議論で2021年の導入を目指し、米国でも2021年副大統領予定のカマラ・ハリス氏などが 導入に積極的です。
日本も足並みを揃えてこれを導入すべきです。
さらにこれを機会に私は、強い国連主導の下、世界初の国際共通経済政策として全ての国での金融取引税(トービン税)を導入するという決定をするべきだと思 います。
そしてこれが将来、国際連合が世界(地球)連邦政府として本格的に強化・進歩してゆく第一歩になって行ければ良いと思います。
これはプラウトも目指す、キャピタルゲインという不健全な不労所得による貧富の差が拡大する社会のあり方の是正、投機抑制政策にもつながります。

また現在、米国など世界もそうですが、日本の金融市場の株価が1980年代後半のバ ブル経済期以来の実体経済と乖離した異常な株価高となっています。
これは、日銀の金融緩和策の一環や年 金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの、上 場投資信託(ETF)買い入れなどで官製相場が生じている事、上がり基調である相場に主に富裕層の投機 (多くは投資信託という形での機関投資家によって)がかつてのバブル経済期のように盛んになっている事などからです。
ある金融経済分析報道サイト「一体、 誰が株を買っているのか」によれば、年金積立金管理運用独立行政法人の国民から預かった年金の運用の内で 国内外株式での運用比率の指針が50%前後で主にこれによる運用で官製相場が形成されている事が十分予想でき、 国内外の投資(実際は投機)家の間で現在の金利水準などの要因で、株式運用での資産形成の有利性が高まっている事などの主旨を分析しています。
実際に私が年金積立金管理運用独立行政法人のサイトで年金資 産運用の株式(国内+外国)の保有比率の推移を調べた所、2010年には約 20%であったもの が、 直近の2020 年では保有指針上限のほぼ50%に達しています。
年金積立金管理運用独立行政法人は、この10年間の長期に渡り株式を買い続けて株式相場を高値に吊り上げてきた事は明らかです。
これは完全に官製とその上がり相場に乗った富裕層投機(短期投資)家により生じたバ ブルであると言えますが、大多数の国民がコロナ禍の生活困窮に陥っている裏で、それで儲ける富裕層拡大 (特に超富裕層)の 実情を示すネット報道もあります。
現在の株価高バブルからの株価暴落(バブル崩壊)を出来るだけ招かない様、年金積立金管理運用独立行政法人や日銀などの資産運用保有株式を調節しながら 徐々に売却(個人投機家の売り多で暴落しそうな時は一時的な小規模買い→また小規模な売りの繰り返しで徐々にバブル株価を下げてゆく)させて 実体経済(ファ ンダメンタル)を反映した本来の株価にソフトランディングさせ、これらの政府機関の国民資産の株式運用比率自体も下げて行くべきです。
そもそも政府が年金などの国民から預かる貴重な資産を勝手にリスクや投機性の高い株式などで資産運用する事自体誤っており望ましくないと思います。債券な どの利子を元にする安全確実な資産運用ならまだ理解できますが。それはプラウト主義的にもそうです。
その後に、投機抑制と相場のバブル化抑制や格差是正と消費税廃止やベーシックインカム導入などの財源確保のためにも金融取引税の新設や金融資産課税強化な ど がますます必要で、必ず導入すべきです。
また、実体経済を反映した本来の金融市場の相場水準を形成させるには、金融市場の投機的(短期)取引で形成される要素を排除すなわち投機の排除と、 本当の長期的投資(例えば、株式ではその会社の将来性や業績などに対しての長期的視野での投資)のみによる相場形成でそれに近づけられると言えます。

これらの見解は私の大学時代の当時問題の土地投機などの資産と金融相場投機バブルについての卒論研究からの結論も含まれています。
この詳しい研究内容は私の著書『「共 生民主主義」政治経済社会への道 』付章:投機による市場価格の変動やバブルにおける経済学的考察 (短いページで要点をまとめ、独自の真需要・偽需要説でのバブルの発生と崩壊のメカニズム、投機が形成する2種類の相場の波とバブル、 投機とバブル抑制策などを図示も入れて説明)を是非御覧下さい。


さらに去年ぐらいから金融庁や自民党菅政権は、国際金融都市構想という金融の優遇税制を伴う、ゼロサムマネーゲームをさらに盛んにさせるだけの 実体経済回復につながらない馬鹿げた時代錯誤の長期的政策を始めている。
その金融都市構想実現に従来の東京、福岡や大阪などが今名乗りを上げ、維新の党も賛同し特にその首長である大阪は大阪都構想の失敗に懲りず 2025年大阪万博とリンクさせて乗り気の有様である。
(ネットで今検索すればその情報が沢山出て来ます。特に参考報道、国際金融都市構想「受け入れ環境整備」な ど…実現には高い壁:西日本新聞
どうしてもこれを進めたいならばこの金融取引税導入や金融資産課税強化などを最低条件として、日本や世界の金融富裕層・投機家に国の税収で貢献させて 格差是正や実体経済の回復、国際投機(ハゲタカ)勢力によって少しでも国富が流出するのを防ぐべきです。



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