高速道路を基本的に無料化したり、料金引き下げ(ロードプライシング)政策をもっと進め、すでにある高速道路をもっと有効活用させるべきです

 例えば私の地域でも、伊勢自動車道という高速道路があるのですが、通行料金が高く、東名阪道、名阪国道、西名阪道と比べると、総量では見た感じ半分にも満たない程度の交通量しか無く、特に土日祝の日中や平日朝夕以外はいつもがらがらに空いておりとても有効活用されているとは言いがたい状況です。
 一方で、この伊勢道と並行に湾岸近くで走る国道23号は特に津市内通過部は慢性的に交通混雑しているので、中勢バイパスという国道バイパスを建設しています。もっと、伊勢道の通行料金を引き下げれば、国道23号からの通過交通が流れ、国道23号の混雑が緩和すると思います。
 中勢バイパスは、現在事業中の混雑のひどい津市野田~松阪市小津(南勢バイパス接続点まで)はそのまま二車線で建設続行して完成させても良いですが、まだ手のつけられていない全線四車線化は中止し、伊勢道の料金引き下げによる有効活用で混雑緩和を図るべきです。

 このように高速道路の通行料金が高いために有効活用されず、それと並行に走る国道が混雑し、その国道の混雑問題を解消させるためにバイパスを建設しているという道路建設と予算(税金)の非効率(無駄)な使われ方の構図が全国いたるところで行われています。これが1つめの無駄です。

 そして、2つめの無駄は、これはよく言われている、旧道路公団時代の談合入札の黙認や、コスト意識の無さによって、高コストで高速道路が建設されてきたことによる道路予算(通行料金、税金)の無駄使いです。

 さらに、日本は有料道路制度で旧道路公団は財政投融資という利子の高い借金を借りに借りつづけて高速道路を作りつづけたため、その膨大な借金(債務)の利子払いがかなりの額となり、、前回の総選挙における民主党のマニフェストにも採用された、高速道路無料化政策を提唱している山崎養世氏の試算によれば、高速道路の通行料金のうちの半額以上は借金の利子払いのために払っているそうです。ここに日本の高速道路の通行料金が世界一高い国になっている理由があり、それはこのような利子払いための料金の無駄が生じているからです。これが3つめの無駄です。

 そこで山崎養世氏は、一度、借金(道路債務)全額返済のためのもっと利子の低い条件の良い国債(世直し国債)を発行して、その国債という利子の低い条件の良い借金に借り替えれば、利子払い分が大幅に減り、高速料金引き下げ分にまわす事が出来、さらに、去年末からの、道路特定財源の一般財源化の議論が出来る事からも判るように、道路特定財源は潤沢にありますが、上記の高速道路と並行する国道バイパスの建設を止めるか、規模を縮小するかして節約する事でさらに余り分を引き出す事が出来(1つ目の無駄の改善)、それを料金引き下げの財源に使えば無料化出来ると訴えているわけです。

 そして、「道路構造改革」というホームページを開設し、道路改革について考えておられる藤田兄弟という方は、道路構造改革の「とにかき」というブログの中で、イギリスなどで採用されている「部分的な陰の通行料金」という仕組みを高速道路料金引き下げや無料化に利用していく方法もあると主張されています。以下そのブログでの説明部分です。

「部分的な陰の通行料金」とは、イギリスなどで採用されている制度、陰の通行料金(シャドウトール:Shadow Toll )を応用した制度です。(一般的に影という字が使われていますが誤りでしょう。)
陰の通行料金を簡単に説明すると、利用者が利用毎に通行料金を支払うのではなくて、政府などの公共部門が、サービス提供者である民間の建設運営企業(日本でいう高速道路会社や道路公社)に 交通量に応じた料金を支払う制度です。
イギリスなどでは通行料金の全額が陰の料金となっているので、利用者からの見かけ上は、無料開放されているように見えますが、「部分的な陰の通行料金」では、いま利用者が支払っている通行料金のうち、例えば半額を政府などが利用者に代わって支払うことにして、利用者は見かけ上半額だけ支払うようにします。
これによって、(本四の債務を切り離して返済したことについては、あまり問題視されないのが不思議なのですが…それはともかく…)批判の的となる道路会社や保有・債務返済機構への直接の税金投入ではなくて、利用者、国民に還元する形にできます。また、道路会社の収入は交通量に対応しているので、利用される努力をする必要がある。という点も特徴です。
もう一つの特徴として、例えばある路線で利用者が支払う料金を半額にするからといって、陰の料金で半額分をまるまる支払わなくてもよい。ということがあります。
料金値下げによって利用台数が増えることで、「道路会社が利用者から得る料金収入」は今の半額よりも多くなるので、道路会社の収入を『「現在のように全額を利用者が支払っている場合の収入」に相当させるために国が負担しなくてはならない額』は半額より少ないのです。そして、料金が高くて利用していなかった交通、つまり潜在需要が多い路線ほど少なくなります。
有料道路全体でどれだけ値下げできるかを決めるのは、予算だけでなくこの差額分がどれほどになるのかによります。いわば陰の予算として生み出されたこの差額分も、さらに割引の原資となるからです。
実は、陰の料金と似た仕組みで国が料金の一部を負担する方法は、通行料金値下げの社会実験で行われています。

そして去年の12月、ようやく道路特定財源の一部を国民の要望の強い高速道路料金引き下げの財源に充てるという閣議決定がされました。
国交省道路局も料金割引の社会実験での効果を参考にしながらこの財源で恒久的な料金値下げを全国的に実施していく準備をしているようです。
その税金(財源)投入の行い方はこの藤田兄弟の方が主張する「陰の通行料金」の手法で行うのが望ましいと私も思います。

そのような方法で行うことで、高速道路の料金値下げや無料化に税金(財源)投入を行うことに反対する人たちの、「道路会社や保有・債務返済機構への税金投入によって道路会社のコスト削減や合理化等の自助努力で通行料金を値下げする必要性が無くなりその努力が無くなってしまうのではないか」といった懸念や、「国民負担なしに債務を返済するとの道路公団民営化の趣旨に反する」とかといった反対論に応えることが出来、説得できます。

また、特に無料化論については、「全ての高速道路を無料化すれば渋滞する高速道路も出てくる」という声がありますが、私も現在の通行料金でも十分有効活用されていて、料金を下げたり無料化すると渋滞が多くなりそうな高速道路(都市高速や三大都市圏を東西に結んでいる系の高速(東名、名神、東名阪、西名阪等))は、無料化すべきではないと考えています。

さらに、高速道路の有効利用によるメリットで、その他に挙げなければならないことは、高速道路の事故率が一般道路に比べて半分以下なので、高速道路に多くの交通を分担させる事で、道路全体の事故が減り、一般道路の事故が混雑緩和の効果もあって特に減るということです。
実際にも、高速道路料金引き下げの社会実験でも、並行する一般国道の事故が減ったと国交省は発表しています。


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